ダンスに筋トレ、要る?要らない?「踊ってれば必要な筋肉はつく」は本当か
- うぽる
- 2024年12月19日
- 読了時間: 7分
「踊っていればダンスに必要な筋肉はつくから要らないよ!」
「いやいや!ダンスのためには筋トレもしないと!」
どちらの意見も聞いたことがあるのでは?
スポーツトレーナーの資格を持つダンス講師の筆者が、この積年の(?)の論争に終止符を打ちます!
ぜひ最後までお読みください!

目次
踊ってつけられる筋肉は限られている
踊るのには筋力が必要そう……ここまではなんとなく想像が付くのではないでしょうか。
問題は、「踊るだけ」で、ダンスに必要な筋肉がちゃんとつくのかってことですよね。
そもそもの話、ダンスを「運動」と捉えたとき、ダンスによって鍛えられる筋肉ってなんだと思いますか?
ストリートダンスの基礎であるダウンとアップなどは、膝の屈伸運動をメインとした動きで、かなり下半身を酷使します。
下半身の筋肉は自然と育ちやすいです。
では、上半身はどうでしょう?
ダンベルなど、何かを持って踊ることはほとんどないので(※リフトなど特殊な技を除く)、上半身の筋肉はつきにくいことがわかります。
下半身の筋肉をつけることは踊る上でも健康面でもとっても大切ではありますが、
「踊るだけで、全身バランス良く鍛える」というのはちょっと難しそうです。
ダンスは筋トレというより有酸素運動
有酸素運動と無酸素運動、という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
有酸素運動は、ジョギングやウォーキングなど、比較的軽い負荷で長時間行います。
無酸素運動は、高重量のダンベルを使った筋トレや、短距離走など、短時間で高負荷の運動のことを言います。
ではダンスはどちらなのか……というと、有酸素運動に分類されます。
ステージに一度立てば少なくとも5分程度は全力で踊り続けないといけませんし、レッスンやリハーサルでは2~3時間踊りっぱなしです。
有酸素運動というのはそもそも、「筋肉を育てる」というよりは「心肺機能を強くする」ことに長けています。
心臓の血液を送り出す力と、肺の呼吸の力が強くなれば、必然的に、長い時間安定したクオリティで踊れるようになります。
「踊ることによって全く筋肉がつかない」ということではありませんが、どちらかというと「心肺機能を上げること」に長けた運動だということをおさえておく必要があります。

踊りのクセ・歪みが抜けないままになってしまうリスク
ここで別の視点も考えてみましょう。
どんな人も、「今までの生活習慣」「今までの運動習慣」の結果として、今の身体の状態・身体の使い方ができあがっています。
「歪みも全くない、変なクセもない、全身の筋肉がバランス良く育った、均衡の取れた身体」の人が居たらいいのですが、長年生徒さんと向き合ってきて、そんな人と出会ったことは一度もありません(笑)
みんな、大なり小なり、何かしらの動きのクセや歪みを持っています。
歪みもクセも軽度なものならいいのですが、歪みが酷いと痛みや怪我の原因になったり、踊りの変なクセが何年も抜けずに苦労したりします。
現代、女性の9割が「反り腰」だと言われています。
実際、生徒さんをみていての体感としても、そうだろうなと思います。
それくらい反り腰の人は多いです。
たくさん踊れば、それだけ身体を酷使していくことになりますから、日常生活レベルでは問題なくても、そういった身体の歪みが原因で腰痛などの痛みに繋がってしまいやすいわけです。
でも、踊る中でこういったクセや歪みを意識して変えていくことは不可能です……普通は振付で頭がいっぱいですからね。
適切な筋トレやストレッチを補助的に取り入れていくことで、こういった動きのクセや歪みを整えていく助けになります。
身体を守るためのトレーニングなのです。
負荷を増やし続けないと身体は変わらない
筋トレをして筋肉を増やしたいとき、「ずっと同じ重さ・同じ回数」で続けていても意味がないのはご存知でしょうか。
腹筋を10回やるのがやっとだった人も、続けていくうちに余裕でできるようになります。
でも、そのまま毎日10回しかやらなかったら、筋肉は増えず、維持にしかなりません。
10回できるようになったら、12回、15回、と回数を増やしたり、メニューを変えて負荷を増やしたりしないと、身体は怠けてしまうのです。
ダンスが上手くなるというのは、「身体が踊ることに適した状態に変化していく」ということ。
これらを踏まえ、「踊ることだけ」で身体を変化させていこうと思ったら、単純に踊る量を増やし続けるしかないですが……
実際どこまで増やせますか?という話。
踊り始めた頃なら、ただ踊るだけで必要な筋肉もどんどん付きます。
でも、踊る時間を増やすと言っても限界もあるし、身体も慣れてきます。
どこかで限界来ますよね?
筋トレというのは、踊ることに比べると負荷のコントロールを細かくやりやすいですし、踊るだけでは鍛えにくい部分だけを集中的にトレーニングすることもできます。
踊ることだけでは伸び悩みを感じている人の助けになるのです。
結局筋トレは要る?要らない?
さて、ここまでいろいろな視点で筋トレとダンスの関係を深掘りしてきましたが、ここでまとめます。
結局、筋トレ要るの?要らないの?
結論。人により、状況により、です。
ダンスを始めたばかりの人
→踊ることだけでも必要な筋力がどんどんつく時期です。筋トレはナシでも問題ないでしょう。
ダンスをはじめてしばらく経ち、伸び悩みを感じている人
→筋トレを取り入れてみると良いです。踊るだけでは怠けて使えていない部分が使えるようになり、ダンスが洗練されます。
「ダンスはあくまで趣味」の人
→踊ること自体を楽しめればOK!という人は、無理に筋トレをする必要は無いです!上手くなりたくなったら検討してください!
体重が比較的重めの人(目安としてBMI22以上)
→筋トレはなくてもいいかもしれません。自重が重めなお陰で、踊るだけでしっかり負荷がかかり筋力も上がります。有酸素運動で体重も落ちやすいので、おどるだけで身体の変化が見込めるでしょう。
体重が比較的軽めの人(目安としてBMI22以下)
→痩せ型の人は筋トレを追加することをオススメします!自重が軽いので、踊るだけでは筋トレとしての負荷が軽すぎます。ある程度筋力をつけて身体に重みをつけることで、踊りに深みと奥行き、表現力が上がるので是非オススメしたいです。
結局どんなトレーニングをすればいいの?
いかがでしょうか?
あなたは「筋トレが必要な人」でしたか?
「結局何のトレーニングしたらいいの?」と疑問はお持ちでしょうが、ここまで読んでくださった方なら「効く筋トレも人による」ということもわかってくださることと思います。
今目の前で読んでくださっている方に、「このメニューがいいよ!」とひとりひとりに声をかけたいところですが、そうもいかないので……
自分に合った筋トレを知りたい人は「リズトレ塾」に入会してみてください。
塾生の方には、ひとりひとりに合わせたオススメのトレーニングを紹介しています。
あ、筋トレのことを熱く語ってきましたが、一番大事なのは「ダンスの練習をすること」ですからね!
今日も充実したダンスライフをお過ごしください!
この記事のライター

うぽる
振付・ダンス総合コーディネートサービス「Dignitive」代表。TRFのSAM氏、ETSU氏らに師事し、13歳でTRFバックダンサー、AAAのバックダンサーとして活動。その後歌手活動やラジオパーソナリティなどを経て、2013年から振付師・ダンス講師に。生徒に向き合う丁寧な指導と高品質な振付には定評がある。
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